開発レター: 地形通過機能の不正ソフトウェアについて

開発ノート 2023.05.19

こんにちは、プレイヤーの皆さん。

不正ソフトウェアの機能には、公正なゲーム環境を損なうものの他に、視覚的な不快感を誘発するものがあります。本日の開発レターでは、キャラクターや車両が物理的な境界線やオブジェクトを通過できる「地形通過機能」と呼ばれる不正ソフトウェアの機能について、これまでの対策と今後の予定についてご説明します。

不正ソフトウェア - 地形通過機能

不正ソフトウェアの地形通過機能とは、通常では通過できないドアや壁、岩などの物理的な境界を通過できるもので、チートプレイヤーにゲームにおける不当な優位性を付与するものです。この機能はゲームプレイを著しく妨げ、見ている方にも不快感を与えます。チートプレイヤーがこの機能を利用してオブジェクトに入り込み、オブジェクト外にいる無防備なプレイヤーを攻撃すれば、ターゲットにされたプレイヤーは、まるで透明人間に襲われたような無力感と弱さを感じざるを得ません。また、オブジェクトを軽々と通過するチートプレイヤーを目の当たりにした他のプレイヤーも、強い不快感を覚えるのは当然のことと言えるでしょう。

地形通過機能は他のプレイヤーの目につきやすいため、数多くの報告が上がってきています。PUBG: BATTLEGROUNDSチームでは、ゲームの公平性に悪影響を及ぼすこの不正ソフトウェアに対し、様々な取り組みを行っています。正確には、ゲームデザインの観点から、2つの異なる方策がとられました。第一に、キャラクターや車両がおかしな位置にある事例を修正し、正常な位置に戻す防御策を実施しました。第二に、地形の内側から外側にいるターゲットに向かって射撃を行う場合に対応するための検証ロジックを組み込みました。このほか、地形通過機能の実装に関する最新の改善点、実績、今後の予定についてもご紹介します。

地形通過機能の実装には、主にコード改ざんとデータ改ざんの2つの手口が利用されています。

コード改ざんとは、ゲームのコードを改ざんして、通常では通れない地形を通れるようにする方法です。PUBG独自のアンチチートソリューションであるZakynthosには、コードが改ざんされているかどうかを検出する機能がすでに搭載されていますが、最適なゲームプレイのパフォーマンスを確保するには限界がありました。

データ改ざんとは、衝突に関するデータを操作することで、通常は通れない地形を通過できるようにする方法です。車両やキャラクターのデータ検証ロジックはありますが、このデータは通常の状況でも改ざんされる可能性があるため、すべての改ざん事例を検証できるわけではありません。

このように現実的な制限や制約はありますが、私たちの不正ソフトウェアに対抗する意志は決して揺るぎません。私たちは、これを受けてすぐに解決策と改善策を模索し始めました。

これまでの実績と今後の予定

まず、Zakynthosのコード変調検出機能を強化することで、コード改ざんに対応しました。プレイヤーのゲームパフォーマンスに影響を与えることなく、改ざんを効率的に検知する改良型メカニズムを開発し、2023年3月に実装しました。その結果、コード改ざんを行ったと認定されたアカウント数が前期の約3倍増を記録しましたが、地形通過機能が使える不正ソフトウェアの数は81%減少しました。また、今年3月以降、地形通過機能を悪用したチートプレイヤーに関するコミュニティーの通報件数が大幅に減少 (約83%) していることも確認しています。

上のグラフが示すように、特筆すべき成果が得られていると言えるでしょう。とはいえ、地形通過機能を完全に撲滅するためには、まだまだ克服すべき障壁が存在します。先に述べたコード改ざんへの一貫した対応に加え、データ改ざんの検証ロジックの強化も必要です。現在、PUBG: BATTLEGROUNDSチームでは、ロジックの改良に懸命に取り組んでおり、近い将来、データ改ざんへの対策を強化する予定です。

また、PUBG:BATTLEGROUNDSチームは、本日お話しした地形通過機能の対策と並行して、機械学習技術やアンチチート対策に注力し、進行中のマッチをリアルタイムでモニタリングしていきます。

プレイヤーの皆さんからすれば、個々の通報は大きな意味を持たないのではないかとお考えになるかもしれませんが、いただいた報告は私たちのアンチチート対策の検証に多大な貢献をしているのです。我々が協力して、ゲーム環境を悪化させるチートプレイヤーを排除していけば、PUBG: BATTLEGROUNDSの公平なゲーム体験を創り上げていけると信じています。今後も積極的にチートプレイヤーの通報をお願いします。では、次回のトピックにご期待ください!

PUBG: BATTLEGROUNDSチーム