開発レター┃不正プログラムアカウント供給に関する対応について

開発ノート 2023.07.10

こんにちは、プレイヤーの皆さん。

PUBG: BATTLEGROUNDSアンチチートチームでは、不正ソフトの使用、配布、販売に関与しているアカウントを毎週平均で6万から最大約10万件特定し、永久的な利用禁止措置を科しています。かなりの数を利用禁止にしているにもかかわらず、プレイヤーがチートプレイヤーに遭遇するケースが後を絶ちません。毎週大量のアカウントを利用禁止にしているのに、なぜあまり進展がないのかと思われたかもしれません。この問題に効果的に対処するためには、より包括的なアプローチが必要であることも認識していましたが、これからは永久的な利用禁止措置だけに頼るのではなく、不正ソフトを使用するアカウントの分析と追跡を含む根本的な解決が必要であることを痛感しています。ランクマッチで行われている不正プログラムの使用が深刻な影響を与えていることを考慮し、本日はランクマッチでの不正行為を目的として意図的に供給されているアカウントに焦点を当てたいと思います。

ランクマッチで不正プログラムの使用に使われているアカウントの供給ルート

ランクマッチには、不正ソフトを利用したさまざまなタイプのアカウントが存在していますが、そういったアカウントの大半は主に2つのカテゴリーに分類することができます。1つ目は乗っ取られたアカウント、そして2つ目は生存マスタリーレベルのシステムを悪用したアカウントです。

まずは、乗っ取られたアカウントについてです。2022年以降に永久的に利用禁止になったプレイヤーに関するデータを分析すると、ランクマッチのプレイヤーベースで永久的に利用禁止にされたアカウントの約85%は、2022年1月にPUBGが無料プレイに移行する以前に作成されたものであることがわかりました。これは、2022年以前から不正ソフトを使用していたアカウントが、今になって検出されたという意味ではありません。これはむしろ、チートプレイヤーが他のプレイヤーのアカウントを取得し、その取得したアカウントで不正ソフトを使用し始めた可能性が高いことを意味しています。

次に、生存マスタリーレベルのシステムを悪用しているアカウントについて見ていきましょう。不正ソフトの販売を行っている特定の違法業者は、プレイヤーがマクロによる反復アクションでマスタリーレベルの経験値が獲得できる、いわゆる「製作所」を立ち上げます。これらの業者は、ランクマッチ参加に必要なレベル80に達した新規アカウントを作成し売却するのですが、乗っ取られたアカウントのレベルが低い場合はそのアカウントがレベル80に達した時点で売却します。

この2つのカテゴリーを分析した結果、公正なゲーム環境を確保するためには、不正プログラムの使用に使われるこれらのアカウントの供給ルートを断ち切ることが極めて重要であることがわかりました。

対応進捗状況

まずは、生存マスタリーレベルのアビューズ行為を防ぐ対策についてお話しします。これまで私たちのアプローチは、主にプレイヤーが行う特定のアビューズ行為のパターンに焦点を当ててきました。これには、不正行為を監視すること、コミュニティーからの通報を調査すること、アビューズ行為の特徴やパターンを分析して利用禁止基準を確立することなどが含まれます。しかしながら、このアプローチには2つの問題点がありました。その問題点とは、第一に通報を確認するまでの間に、新たな形態のアビューズ行為を見過ごす可能性があるということ、第二にアビューズ行為検知の精度が低いため、永久的利用禁止などの強力な措置を適用することが難しいということです。

対策を強化するため、PUBG: BATTLEGROUNDSアンチチートチームでは、マスタリーレベルのアビューズ行為の特徴とパターンを学習する機械学習モデルの開発に着手しました。このモデルを活用して、今年の5月から6月にかけて、問題のプレイヤーを検出する基準を拡大・改良し、その結果、いくつかのポジティブな変化が見られました。問題のアカウントに対する利用禁止措置の件数が、このモデルの導入前に比べて3倍以上に増加したのです。さらに、問題行動の疑いのあるプレイヤーやアカウントに対する内部監視プロセスを継続的に改善した結果、監視対象のアカウント販売業者の数は減少してきています。また、これらのアカウントの販売価格も値上がりしていることが確認されました。

次は、乗っ取られたアカウントに関する対策についてです。多くのプレイヤーが指摘しているように、乗っ取られたアカウントは、不正ソフトの使用だけでなく多くの問題を引き起こしています。これまで私たちは、この問題に対処するために相当の労力を費やしてきましたが、まだまだ十分ではないことが明らかになりました。そこで、生存マスタリーレベルのアビューズ行為を特定できるモデルに加え、乗っ取られたアカウントを検出できるモデルの開発に着手しました。現在では、これらのアカウントの規模や属性を把握し、この情報を効果的に活用できる段階まで来ています。今後は、このモデルの精度を高め、さまざまなアンチチート対策やサービスに採用していく予定です。

最後に

ここまでお話ししてきたように、私たちが現在焦点を当てているのは、ランクマッチにおける不正行為の原因となる根本的な問題を分析し、それに対処することです。私たちの目的は、不正プログラムの使用に使われるアカウントの供給元をターゲットにして、その供給を断ち切ることです。

前回のアンチチート開発レターでもお伝えしましたが、ゲーム環境を乱すプレイヤーに対抗するためには、皆さんからの協力が必要不可欠です。チートプレイヤーによるアカウントの乗っ取りを防ぐには、アカウントのセキュリティを確保することが何よりも重要となります。そのため、皆様の大切なアカウントを悪用から守るため、アカウントのセキュリティを最優先していただくようお願いいたします。Steamプレイヤーの方は、Steamガードモバイル認証を設定していることをご確認ください。アカウント保護のために講じた皆様の努力を無駄にすることがないよう、システムを継続的にモニタリングし、強化していくことをお約束いたします。

PUBG: BATTLEGROUNDSアンチチートチームでは今後も引き続きこの問題に取り組み、進捗状況をお伝えしていきますので、今後のアップデートにご期待ください!


PUBG: BATTLEGROUNDSアンチチートチーム

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