開発レター: アンチESP

開発ノート 2024.03.25

プレイヤーの皆さん、こんにちは。


アンチチートチームです。今回は、ゲームプレイを妨害する特定の不正ソフトウェア「ESP」と今後の計画についてお話ししたいと思います。

前回のPUBGケアパッケージ EP 2のセッションではアンチESPソリューションについて簡単に触れましたが、本日の開発レターではさらに詳しくご説明しようと思います。

でも、その前に「ESPって何?」とお思いの方に、まずはESPについてお話しします。ESPはExtra Sensory Perception (超感覚的知覚) の略で、ゲーム内で他のプレイヤーの位置を自動的に特定する不正ソフトウェアのことを言います。これは現在、最も頻繁に行われている不正行為の1つであり、コミュニティに多大な影響を与えています。

アンチESP

ESPは、マッチ内で他のプレイヤーの位置情報を収集し、画像やテキストでチートプレイヤーに視覚的なコンテキストを提供します。これは、ステルス性と視線が重要なシューティングゲームにおいて、不当な優位性をもたらします。 

ESPのプログラムはゲームデータを改ざんせず、既存のファイルに痕跡を残さないため、他の不正ソフトウェアに比べ検出するのが難しいとされています。さらに、インゲーム通報をモニタリングしていても、ESPの使用を第三者の視点から認識するのが困難です。ESPの使用を特定し、チートプレイヤーを追放することも大事ですが、まずはESPを排除することに重点を置き対応していくつもりです。

そこで、ESPに対抗するために私たちが開発したソリューションが「アンチESP」です。これはPUBGでの呼称ですが、一般的に戦略シミュレーションゲームで「戦場の霧」システムと呼ばれるものです。アンチESPは、視界の外にいるプレイヤーの位置情報を削除することでESPを妨害し、チートプレイヤーが他のプレイヤーの居場所を特定できなくします。アンチESPの開発段階でいくつかの課題に直面しました。なぜなら、ゲーム中でないときにプレイヤーの位置、音、行動をリプレイやデスカメラで確認する必要があるためです。

アンチESPの効果を示す画像を作成しました。アンチESPが無効になっている上の画像では、ゲーム内で他のプレイヤーの位置が表示されています。一方、アンチESPが有効になっている下の画像では、画面が正常に表示されていることがわかります。

導入結果

Anti-ESP機能は、何度もの社内開発とテストを経て、23年9月にライブサーバーに適用されました。その後、23年12月、24年1月、そして3月にかけて3度のセキュリティ強化が行われました。Anti-ESPの導入と改善を通じて、不正プログラムの使用に関する全体的な指標の改善効果を確認できました。

特に、不正プログラム使用者が他のプレイヤーに与える平均ダメージ距離に関する指標は、Anti-ESP導入前と比較して導入後に約23%減少し、24年1月の改善作業後にはさらに減少して、23年8月と比べて約30%減少しました。また、不正プログラム使用者の1マッチ当たりの平均キル数に関する指標も、導入後および改善作業後を確認した結果、約20%減少していることが確認されました。

これらの変化は、Anti-ESP機能の導入およびその後の改善作業が、バトルグラウンド内でのESP使用にかなりの制限をもたらし始めたことを意味しています。

今後の予定

本日ご紹介したアンチESP機能はまだ完成形ではなく、現在いくつかの追加改善作業を行っています。改善作業には、アンチESPが適用された状態での視野、サーバーの安定性、リプレイやデスカムの改善が含まれます。まず、昨年11月にはサーバー、リプレイ、デスカメラ再生に関連する最適化作業を行いました。そして、12月、1月、そして今月のアップデートを通じて視野表現の補完とセキュリティの改善作業を行いました。

さらに、アンチESP機能の適用範囲拡大のための追加研究と開発を継続しています。これにより、ESP機能の使用による利益をさらに減少させ、プレイヤーが公平なゲーム環境でプレイできるように改善していきます。もちろん、ESP使用の利点を弱める作業を続けながら、基本的な違法プログラム検出の強化作業も継続的に行う予定です。

また、最近プレイヤーから報告されている車両の異常な走行を含む多くの不正プログラム機能も認識しています。現在、これらの不正プログラム機能への対応を強化し、必要な追加対応を準備しています。これに関連する成果は、後日具体的に共有させていただく予定です。

私たちは本日申し上げた通り、不正プログラム対応機能の継続的な改善を通じて不正プログラムを遮断し、より公平なゲーム環境を作るための努力を止めることはありません。また、アンチチートに関するプレイヤーの皆様のフィードバックを継続的にお聞きします。

引き続きコミュニケーションすることをお約束します。それでは次の開発レターでお会いしましょう。

PUBG: BATTLEGROUNDSアンチチートチーム

 

PUBG: BATTLEGROUNDSチーム